母の記憶

両親は僕が中学生の時に離婚した。父の不倫だった。

それから母はおかしくなってしまった。
僕が家に帰ると、既にお酒を沢山のんで酩酊状態。
僕の顔を見るとヒステリックになって「目障りだから消えろ」「家から出ていけ」と叫ぶ。

でも、「ごめんなさいごめんなさい」と言いながら僕に泣いて縋り付く時もある。

大好きだったお母さん。
おかしくなってしまう前の、温かな優しさが、未だに浮かんでくる。
もう戻れないのかな。
きっと戻れないんだろうな。

僕は逃げるように一人暮らしをして、母とは距離を置いた。

母とはもう二度と会わない方が良いんだと思う。もう無理なんだと分かっている。母とは会うべきではない。

それでも、ずっと、心のどこかで母を諦められずにいる。